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胸腔鏡下交感神経切除術 ETS手術の効果と副作用

手のひらの多汗症を治療するための手術に胸腔鏡下交換神経切除術(Endoscopic Thoracic Sympathectomy,ETS手術)というものがあります。

汗を出す体の機能は、運動などをして体温が上がりすぎたときに、体温を下げるために「発汗せよ!」と指令が知覚神経から脳に伝達され、脊髄を通って交感神経に伝達されます。

ということは、汗を出さないようにするには、脳や脊髄、交感神経のどこかで汗を出す指令の伝達を止めれば良いということになります。
とは言っても、脳や脊髄の機能に処置を加えるということは生きていくのにリスクが大きいのでできません。

ですが、人にの体には交感神経はいくつもあり、そのうちの数本であれば遮断しても、機能的にはそれほど影響がないということで神経痛や顔面神経麻痺・突発性難聴・多汗症の治療などに交感神経ブロックという治療法が開発されました。
胸腔鏡下交換神経切除術(ETS)は、手のひらの汗つかさどる、交感神経を切断し、遮断することで「汗を出せ!」という指令伝達を止める方法です。

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交感神経には、ところどころに太くなっているところがありこれを「交感神経節」と言います。
これは、脳からの指令をここで中継して各交感神経に「汗を出せ!」という情報を伝える場所なのです。

なので、「手の汗を出せ!」指令を伝達する第2、第3胸部交感神経節を切断してしまえば、手の汗を止めることができるということです。
胸腔鏡下交感神経切除術の手術の方法とは

胸腔鏡下交感神経切除術は、全身麻酔で行います。
手術は、腋の下の皮膚を4mmほど切ってそこから胸腔鏡で手術を行います。
腋の下の切った部分から、内視鏡と電気メスを組み合わせた細い管を入れ、医師がモニターで胸腔の様子を見て交感神経を10㎜程度切除します。

手のひらの汗の指令を出す交感神経は左右別のものなので、片方ずつ同じ手順で行います。

この胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS手術)の副作用である代償性発汗の出かたに個人差があるため
病院によっては、一度に両方の手術をせず、片方のみまたは、期間をおいて片方ずつ手術を行う場合があります。
また、交感神経節を切断する前に、胸腔鏡を通すために肺をしぼませる必要があります。
なので、過去に肺結核、ろく膜炎、ひどい肺炎にかかったことがある人、あるは交通事故などで胸を強く打ったことのある人は、肺がまわりの胸郭の壁にくっつく、肺の癒着があると肺がしぼまないことがあります。
肺の病気や事故を経験された人は事前に医師に申し出たほうがよいでしょう。

胸腔鏡下交感神経切除術の副作用

代償性発汗

胸腔鏡下交感神経切除術は手汗を止める効果が高いと言われるとともに避けられない副作用もあります。
まず長期的な副作用としては一番にあげられるのが「代償性発汗」です。

胸腔鏡下交感神経切除術を受けると、だいたい乳首から上の汗(脇の下、頭、額、首)が減少します。
それとは、逆に、そこから下の背中、おなか、太もも、おしりの汗が増えることになります。

汗は、上がりすぎた体温を調整する役割があります。
なので、ある一部の汗が出ないように止めてしまうと、体はほかの部分の汗を増やして体温調整をしようとします。

今まで、出ていた手汗、顔汗などを止めてしまうと、背中、おなか、太もも、おしりの部分に汗が増えると
その部分は、衣服でおおわれている分、汗が蒸発しにくく、今まで以上に余計に汗をかいていると感じやすくなります。
なので、術後、この代償性発汗に悩まされる人も多いようです。

味覚性発汗

多汗症の人でなくても、カレーなど辛いものやすっぱいものを食べると額や鼻の頭になど汗が出てくることがあります。
これを味覚性発汗といいます。

手術を受けた後、辛いものばかりでなくチョコレートなど、今までは食べても汗が出なかったような食べ物にも反応して汗が出るという場合もあるようです。

しかも、味覚性発汗は、普投あまり汗が出ないはずの顔に汗をかきます。

手のひらの乾燥

手術を受けて手汗がほぼ完全に止まると、手が乾燥し過ぎてしまうことがあるようです。
特に、乾燥する冬の時期はひび割れができて、手荒れに悩むこともあります。

その他の副作用

そのほかにも、手術で切除する交感神経節は心臓にも関係しているため心拍数が約10%減少すると報告されています。
また、手術中や術後に一過性の不整脈が時折みられたり、「急に立ったときに立ちくらみがする」「運動しても脈が速くならない」という症状を訴える人や、
交感神経と副交感神経は互いにバランスをとりながら働いているので、そのバランスが一部崩れることにより、「自律神経失調症」を訴える人もいるようです。

 

このように、手掌多汗症の胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS手術)は手汗を止めるのに効果が高いものですが、一度切断してしまった神経はもとに戻すことができないというリスクも伴います。また、最近では代償性発汗を極力抑えながら手汗を押さえる低位交感神経遮断術(低位ETS)という手術方法を行うクリニックもあります。

今までのETS手術では、手の汗を完全に止めるために第2、第3胸部交感神経という部分を遮断する手法がとられてきていますが、この低位交感神経遮断術(低位ETS)では、第4交感神経のみを遮断することで、手のひらの汗が完全には止めないことで、ひどい代償性発汗を回避することができるようです。

手術を受ける判断は、その後の副作用や合併症などのリスクを考えて慎重に行いましょう。